やりたいことを叶えて
事業を継続していくための大切な軸が
第三者目線のアドバイスで明確に
令和5年4月に法人を設立し、「みんなの門出を応援する」をコンセプトにした「cadode cafe」を開業。誰もが気軽に立ち寄れるカフェという業態を活かし、交流が自然と生まれる場所として地域のハブ的存在となっている。
店主が育児中に社会的孤立を感じたことをきっかけに誕生した、地域の誰もが笑顔で集えるコミュニティーカフェ。店づくりへの想いや理想が先行し、売上や利益をうまく積み上げられていなかったところに当協会の担当者が訪問。何度も足を運んで現状をヒアリングし、安定した経営へ導くアドバイスと外部専門家派遣制度の紹介を行った。専門家からは利益を安定して確保するために必要となる適正な価格設定やSNSを用いた継続的な情報発信などの提案があり、徐々に事業継続のために必要な視点が身についたことで安定した経営が実現した。
会社を立ち上げようと思ったのは、自身の双子育児がきっかけです。元々、カフェに行くのが好きだったのですが、ちょっと一息つきたいと思ったときに子ども連れだとなかなか気が休まらず...。小さな子どもと一緒だと手も目も離せず、泣いたりすると周りにも迷惑を掛けているのではと強く感じてしまい、外に出かけにくくなっていました。そうした経験から「子どもが泣いていてもいいよ」という雰囲気の場所がほしいと思い、「じゃあ自分でつくろう!」とひらめいたことがカフェ事業につながりました。
カフェのコンセプトは「みんなの門出を応援する」。自分が「お母さん」になったとき、子どもをサポートする側に行くことで自分の人生が一度終わったような感覚がありました。でも、「お母さんなんだから」と思う一方で、「どんなタイミングであっても、誰もが何か新しいことにチャレンジしてもいいじゃないか」と考えました。
開業にあたり、「子育て中のお母さん」と「定年を迎えた人」の2人の顧客像を設定しています。お母さんにとっては安心できる場の1つとして、定年を迎えた人にとっては地域とのつながりを感じられる場として、どんな人でもいつでも訪れられる場所を目指しています。
設立当初、集客面やお金まわりの読みが甘かったこともあり、思うようにお金を回せていませんでした。そこで、金融機関から信用保証協会の保証付き融資で運転資金を支援してもらいました。その1年後に金融機関の担当者さんと一緒に協会の担当者さんが業況確認に訪問してくださいました。訪問の際に、うまく利益を確保できていない状況をヒアリングしてもらい、協会の担当者さんに外部専門家派遣制度の利用を提案していただきました。開業以来、自分はこうやりたいという気持ちだけで走っていたので、第三者目線での客観的なアドバイスはとても参考になりました。特に価格設定に関するアドバイスは売上や利益に直結し、大きな効果がありました。お菓子作りは長年続けてきましたが、製菓を専門的に学んできたわけではないこともあり、値上げするということになかなか踏み切れていなかったんです。専門家から「素材にもしっかりこだわって作っているのだから価格を適正にすべき」と言ってもらったことで意識が変わり、価格の見直しにつながりました。値上げを行ったことで売上も伸びましたし、お菓子作りにも自信がつきました。

レンタルスペースとして店舗の貸し出しも開業時から行っているのですが、当初はレンタル費用を明確に打ち出していませんでした。専門家からは、目安の価格をオープンにした方が良いというアドバイスもいただきました。利用時間や利用方法に応じた価格表をSNSのリンクから見られるようにしたことで新規の問い合わせも増えています。間借りカフェやセミナーなど、様々な用途でご利用いただく中で「何かをやってみたい人」の夢を叶える場を提供できたと実感できるシーンも多くあります。専門家から受けたアドバイスを実践したことで、売上が増えただけでなく、「みんなの門出を応援する」という店のコンセプトがより実現できるようになったと感じています。地域コミュニティーの1つとして人と人をつなぎながら、1人だとなかなか取りかかれないことにもそっと背中を押せる「cadode cafe」であり続けたいです。

第三者の支援を受けて良かった点は?
当たり前ではあるのですが、やりたいことを継続していくためには資金面が安定していることが必須だと改めて気づけたことが大きかったです。開業当初から変わらず大切にしているのが「自分にとっても、誰かにとっても自己実現の場としてのcadode cafeでありたい」という想いです。こういう風にやりたいと自分の気持ちを優先して動くことが、店舗経営において必ずしもプラスにならないと気づき、見直すきっかけになりました。
具体的にどんな支援でしたか?
まずは現状のお金の動きと私のやりたいことを協会の担当者さんに丁寧にヒアリングしていただきました。開業からずっと自分1人で動いてきたので、基本的な経営のポイントが外からの意見として入ってきたのはありがたかったです。外部専門家派遣制度を紹介してもらい、専門家からも私の性格ややりたいことを汲みながらアドバイスをいただきました。①商品価格の見直し、②レンタルスペースの価格を明確に提示、③SNSでの情報発信の3つのアドバイスを主に実践し、特に効果を感じています。
支援で何が変わりましたか?
こうありたいという理想を支えるためには屋台骨となる安定した経営が必要です。経営に必要な視点や利益の積み上げ方を教えていただいたことで、やりたいことをやっていくための軸を固めることができました。中でも、商品価格の見直しを自分でできるようになったのは大きかったです。売上のベースアップに直結するだけでなく、価格を上げてもお客様がついてきてくれることが分かって自信にもつながりました。また、イベント出店を重ねつつSNSへの投稿を継続したことが、色々な方にお店を見つけていただくきっかけになっていると感じます。おかげでカフェの利用だけでなく、焼き菓子を買いに来てくださるお客様も増えています。最近は焼き菓子をギフトで利用したいというご要望やイベントで出したいのでこんなお菓子を作れますか?という問い合わせをいただき、求められてできることの広がりを感じながら、自分自身の新たなチャレンジにもつながっています。安定した経営と自己実現のバランスが取れてきたのではないでしょうか。
開業する前と後でギャップはありましたか?
カフェは客単価が低いので、お客様にゆっくり過ごしてほしいという気持ちと経営を成り立たせることの両立に難しさを感じました。また、思っていたよりも出ていくお金が大きいことに、どうしようと思う瞬間もありました。だからこそ、経営のノウハウやキャッシュフローの知識を協会の担当者さんや専門家を通して得られたことが今につながっていると思います。
「創業フェア」のトークセッションではどんな話をしましたか?
協会の担当者さんに声をかけてもらい、自分の経験が誰かの役に立てればという気持ちと自身も色々な方の話を聞ければと思い、参加・登壇させていただきました。当時はまだ経営状況も順調とは言い難かったのですが、事業を立ち上げる厳しさをありのままにお伝えしつつ、自分のやりたいことに取り組む魅力について話をしました。その後、「創業フェア」に参加していた方が来店してくれて、今後何かやりたいという夢や目標を話してくれたのが嬉しかったですね。
信用保証協会の支援を受けた感想は?
何度も足を運んでくださったことが印象に残っています。事業に行き詰まったときの相談先は色々あると思うのですが、店を開けながらだと自分から出向くことが難しいので、店にいながら悩みや課題をお話しする機会をつくっていただき、その都度アドバイスをもらえてとてもありがたかったです。丁寧にお話を聞いてくださったことで、とても安心して話せました。
担当者のコメント
社長の「地域のコミュニティースペースをつくりたい」という思いに社会的意義を感じ、ぜひ応援したいと考えていました。一方で、やりたいことを継続していくには利益を生み出す経営が不可欠です。社長の理想や想いに寄り添いながら、複数回の訪問を重ねて腹を割って話せる関係性を築いたことで、外部専門家派遣の提案もスムーズに受け入れていただけたと思います。今後も経営者の目線と客観的な目線の両方を大事にしながら支援を続けていきます。
創業フェアとは?
当協会では、創業を目指す方や創業間もない方の挑戦を後押しするために、「創業フェア」を開催しています。本イベントでは、創業予定の方や創業後概ね5年未満の方を対象とし、中小企業診断士を講師とした創業ミニセミナー、先輩創業者によるトークセッション、参加者同士の交流を行うビジネスサロン、専門家や支援機関への個別相談などを実施しています。